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法律相談

子の養育費、再婚後も請求できますか?前夫の扶養義務は続く

質問

 結婚して7年がたちます。夫と性格があわず、離婚の話を進めています。5歳の子どもがいますが、妻の私が親権者となり育てていきます。離婚した場合、夫に養育費は幾ら請求できますか。夫は会社員で年収500万円、私はパートで年収100万円です。将来、私が再婚した場合でも、養育費を請求できます。

回答

 親権者にならなくても、親であるかぎり、未成年の子どもを扶養する義務があります。従って、離婚してあなたが親権者になると、あなた自身も養育費を負担しますが、親権者でない夫も養育費を負担します。父母の双方が、その収入に応じて、子どもの養育費を分担し合うことになります。たとえ離婚の原因(責任)があなた自身にある場合でも、夫に養育費の負担を求めることができます。

 元夫に請求する養育費の額は、双方が協議して決めます。協議が調わないときは、家庭裁判所の調停、または審判で決めてもらいます。その場合、裁判所は、父母双方の実際の収入額を基礎として、それより公租公課、職業費、特別経費等の標準的な割合を控除し、これに標準的な生活費を指数化して案分する方法―「簡易迅速な養育費の算定方式と算定表」(家庭裁判所月報55巻155ページ)にもとづいて、相手方に負担させる養育費の額を決定します。

 夫が会社員で年収500万円、あなたがパートで年収100万円の場合、前記の養育費等の算定表によると、あなたが元夫に請求できる養育費の額は、1ヵ月当たり4万円から6万円の範囲内となります。ただし、この金額は、子どもが1人で、年齢が0歳から14歳の場合です。4万円から6万円の幅がありますが、双方の個別事情を考慮して、この範囲内で、養育費の額を決定します。子どもが15歳から19歳になると、6万円から8万円の範囲内となります。

 将来、あなたが再婚しても、元夫に養育費を請求することができます。再婚相手は、子どもと養子縁組をしないかぎり、子を扶養する義務はありません。従って、たとえ再婚相手に相当の収入がある場合でも、再婚相手の収入は考慮されませんので、元夫の養育費負担額を減額する理由にはなりません。

 ただ、再婚相手が子どもと養子縁組をすると、子どもの第1次的扶養義務は養親(再婚相手)に移りますので、その場合には、元夫は養育費の負担を免れることができます。

 元夫が再婚した場合には、再婚しても子の親に変りはありませんから、あなたは元夫に養育費を請求することができます。

 ただ、元夫の再婚相手が働いていない、あるいは再婚相手との間に子どもが生まれたような場合には、元夫の生活費の指数が変動(上昇)しますので、あなたは元夫から養育費を相当程度まで減額するよう求められることになるでしょう。いったん調停や審判等で養育費の額が決まっても、その後、父母双方の経済状況等が変化したときは、変化に応じた分担額にしないと、不公平だからです。

(弁護士 長島佑享)