JA埼玉みずほ

金融機関コード 4859

税務相談

質問

 私は今年85才になりました。まだまだ農作業をこなしていますが相続のことが心配です。相続税の基礎控除が下がり、子や孫にも多額の贈与ができるようになった、との新聞の記事を見ました。これから相続税、贈与税はどのようになりますか。相続税がかからないようにと今から家族に贈与をしておきたいと考えています。生前贈与によって、相続税を軽減することができますか。



回答

生前贈与の考え方

 相続税を軽減するには、生前に被相続人の財産を減らすこと、財産を増やさないこと、非課税財産になること、財産の評価額が下がること、などのしくみを作ることです。しかしながら、財産を減らすことに腐心するあまり目的もなく無計画に贈与を先行すると、もめ事の原因をつくり節税の機会も失いかねません。相続人へ財産を移転するにあたっては贈与の主旨と相手先、贈与する財産の内容、贈与税の特例の適用の可否などを見極めたうえで実行することが肝心です。

生前贈与は小さな節税の積み重ね

 贈与税は相続税の門番と言われるように相続税の前払いとしての役割も果たしているわけです。したがって、相続人らが無税で贈与を受けられるのは原則として一暦年(一年間)に110万円ですから、短期間に相続税額を変えるほどの効果は期待できません。

節税効果を引出すには

 先ず、今ある相続財産の額と相続税額がどのくらいの規模になるのかを試算して生前贈与を実行するかどうか、何を優先するかなどの判断をします。正味財産が相続税の基礎控除(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)以下であれば、どのように分割しても相続税はかかりませんから、税負担を伴う生前贈与は避け、相続時精算課税制度を利用するか相続や遺贈(遺言によって貰うこと)によって取得した方が得策だといえます。

 相続税がかかる場合は、相続税の実効税率(相続税額の相続財産の額に対する割合)の範囲内で贈与できる金額を計算して実行すると効果が期待できます。

生前贈与で得する場合・損する場合

 例えば、親子3人で2億円の相続財産を相続すると、相続税の総額は1,900万円(実効税率は9.5%)になります。この財産の中から被相続人(父)が相続人(子)に贈与税の基礎控除額相当の110万円を生前贈与すると、贈与税が無税のうえ相続財産が110万円減ることで相続税を247,000円節税することができました。

 ところが、この贈与を受けてから三年以内に贈与者(父)の相続が始まり、子が父の死亡共済金を1,000万円(非課税)受け取った場合は、贈与を受けた110万円を相続財産に加算しなければなりません。相続財産は再び2億円に戻ってしまい、子の相続税は104,000円発生することになりました。子がこの相続で何も取得しなければ生前贈与を加算する必要がなく、相続税を247,000円節税できたところ惜しい結果となりました。

 この事例で子が生前に500万円をもらった場合はどうか。子は贈与税を53万円負担しますが、相続財産が500万円減ることによって相続税を1,125,000円節税できました。この贈与を受けてから三年以内に相続が発生し、子が死亡共済金を1,000万円(非課税)受け取った場合は贈与された500万円を相続財産に加算しますから、相続財産は贈与前の2億円になり相続税の節税額は帳消しになります。その結果贈与を受けた子の相続税額は475,000円発生しました。すでに納付した贈与税(53万円)を控除することになりますが、引ききれない55,000円は切捨てられますから、500万円の贈与の効果は無かったといえます。

(次回へ続く)