JA埼玉みずほ

金融機関コード 4859

法律相談

子の相続放棄、親が代理できるか?自らも放棄なら可能

質問

 夫Aが死亡し、相続人は妻の私と未成年の子BCの3人です。BCを養育するために夫の遺産は全て私が相続したいのですが、私が親権者としてBCを代理して相続の放棄をすることはできますか

回答

 あなたとBCは亡Aの共同相続人です。BCが相続の放棄をすると、BCは初めから相続人ではなかったものとみなされます。そうすると、あなたの相続分は増加する反面、BCの相続分はゼロとなり、あなたとBCとは利益が相反する関係となります。

 民法826条は、「親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。」としています。

 従って、亡Aの遺産相続においては、あなたは親権者としてBCを代理して相続の放棄をすることはできません。また、あなたが親権者として家庭裁判所に特別代理人の選任を請求しても、特別代理人は子に不利益となる相続の放棄をすることはできません。ただ、仮に亡Aに多額の負債があり、相続の放棄をする方が子の利益になるような場合には、特別代理人は相続の放棄をすることができます。

 また、共同相続人である親権者が、まずみずから相続の放棄をし、その後に未成年の子全員を代理して相続の放棄をする場合、または親権者がみずからの相続の放棄と未成年の子全員を代理してする相続の放棄を同時に行う場合には、実務上は利益相反行為とはみない扱いをしていますので、その場合には親権者は子を代理して相続の放棄をすることができます。

専業農家の休業損害は?確定申告所得から算定

質問

 専業農家です。先日、自動車事故にあい(被害者)、夫婦ともケガをしました。妻には家事専従者として休業損害2日分が出ましたが、専業農家である私への休業損害は0円でした。納得できません。

回答

 専業農家の場合、交通事故による休業損害は、原則として前年の所得税確定申告所得を基準にして算定されます。個人事業者に収入があれば税務申告をしているはずですから、前年の所得税確定申告を基準にして、その収入を365日で割れば1日当たりの金額がでますので、この金額に休業日数をかけて休業損害を算定します。

 確定申告をしていなかった場合でも、相当の収入があったことを証明する資料があれば、賃金センサスの平均賃金を基準にして、休業損害を算定してもらうこともできます。

 家事従事者については、事故によるケガのため家事に従事できなかった期間について、休業損害を請求することができます。その際には、賃金センサスの女子労働者の全年齢平均賃金または年齢別平均賃金を用いて、女子労働者の平均年収額を基準にして、損害額を算定します。

 専業農家であるあなたの休業損害は認められなかったとのことですが、事故によるケガが原因で農作業に従事することができなかったのであれば、その期間について休業損害は認められるはずです。もっとも、あなたのケガが軽微で農作業をするのに支障がない場合には認められないでしょう。休業損害ゼロに納得できないのであれば、その理由を書面で説明してもらい、その書面をもって弁護士等に相談されると良いでしょう。

(弁護士 長島佑享)